maxon Inside
「テイクアウト」のエネルギー


懐中電灯であろうとテスラであろうと、バッテリーなしでは何もはじまりません。では、将来におけるバッテリー技術とはどんなものでしょう?世界中の研究者が、新しい解決策を模索しています。
e モビリティにはバッテリーが不可欠です。バッテリーは、無数の車両やアプリケーションにエネルギーという名の「栄養ドリンク」を供給し、しかも常に電源コンセントに接続する必要がないという意味で画期的な技術です。バッテリーの技術は、過去数十年にわたって飛躍的に進化しましたが、最先端のハイテク電子機器と比較すると、バッテリー技術開発はさらに進展する余地があるように思えます。たとえば、スマートフォンのマイクロプロセッサは、数秒間で数十億もの操作を実行することができます。一方、バッテリーの充電にはまだ数時間かかります。さらに、バッテリーは取り付けられているすべてのコンポーネントの中で最も重いコンポーネントです。消費者はこれを煩わしく思うかもしれませんが、エネルギー貯蔵とそこに含まれる化学反応における性質上、半導体産業で一般的に行われているように簡単に小型化することはできません。日常生活においても、私たちはさまざまな種類のバッテリーと関わっています:
- リモコンや時計などに入れる低価格なアルカリ電池
- アルカリ電池と類似の用途で使うニッケルカドミウム電池。ただしこれは再充電が可能です。
- カメラ、電動ドリル、電気自動車などに使用されるリチウムイオン電池
- スマートフォンやタブレットなどに使用されるリチウムポリマー電池。リチウムポリマー電池には、液体の代わりにゲル電解質が使用されています。このため、非常に平らな構造の、特殊な種類のリチウムイオン電池となっています。ただし、リチウムポリマー電池は、リチウムイオン電池よりも外部の影響を受けやすくなっています。
今日のゴールドスタンダードとみなされているリチウム電池ですが、重大な欠点もあります。スマートフォンや電気自動車のバッテリーが発火したり、爆発したりする恐ろしい画像を目にしたことがある人は多いでしょう。これが、世界中の研究者が新しいタイプのバッテリと技術を模索している理由です。目標は、バッテリーの安全性を向上し、バッテリーの寸法、重量、充電時間、価格を低減することです。また、リチウムとコバルトの元素 (多くのバッテリーの主成分) は無制限に入手できるわけではないことにも注意する必要があります。
次世代電池の候補の一つが、マグネシウム電池です。現在この技術は、カールスルーエ工科大学 (KIT) とウルムのヘルムホルツ研究所によって進められている研究プロジェクトの焦点となっています。「マグネシウム電池は、従来のリチウムイオン電池よりも決定的な利点を発揮します」。KIT はプレスリリースにこう発表しています。「アノード素材であるマグネシウムは、非常に高いエネルギー密度を発揮し、はるかに安全です」。その他のメリットとしては、マグネシウムはリチウムよりも約 3000 倍も入手しやすく、リサイクルが容易に行えるということがあります。「欧州での開発が順調に進めば、マグネシウム電池はアジアの電池メーカーの優位性を低下させ、欧州で競争力のある電池産業を確立するのにも役立つかもしれません」と KIT は説明しています。次世代の全固体電池のもうひとつの候補は、驚くべきことに「ガラス」です。ガラスに含まれるナトリウムは、最も一般的に使用されている元素のひとつです。特殊なガラス電解質を使用したこのバッテリーは、数分で充電できる可能性があり、可燃性のリチウムイオンバッテリーよりも安全性が高くなります。しかし、そのような電池技術が市場に導入され、リチウムイオンバッテリーを置き換えられるようになるまでは、まだしばらく時間がかかります。
次世代バッテリーを模索する maxon
ドライブユニットのスペシャリストである maxon がバッテリーを製造する?遠い将来の計画のように聞こえるかもしれませんが、実はこれはすでに実現しています。maxon は、通常の自転車を電動自転車に変える改造キット BIKEDRIVE の開発に携わったのを皮切りに、バッテリー分野への参入を開始しました。バッテリーサプライヤーとさまざまな課題に直面した後、マクソンは独自のバッテリーを製造することを決定したのです。ただし、言うは易く行うは難し。この分野への参入は非常に困難です。バッテリーの製造には、エンジニアリングの創造性、技術的知識、および特殊な設備が必要だからです。「これは当社にとって比較的新しく、好奇心を搔き立てられる分野です。
バッテリーパックは、通常は 3.7 V の電圧を供給する複数のセルで構成されており、これらのセルの配線方法がバッテリーパックの仕様を決定します。セルが直列に配線されている場合、セルの電圧は増加します。セルを並列に配線すると、バッテリー容量が増加します。このような個々のセルを最適に組み合わせるには、熟練した技術と知識が必要です。「さらに、守らなければいけない多くの安全基準があります」とベニー・ケラー氏は説明します。専門的に正しい方法でセルを接着し配線しただけでは、バッテリーパックは完成しません。くわえて、バッテリー管理システム (BMS) も必要となります。通常、電子機器はバッテリーケース内の PCB に取り付けられています。maxon のスペシャリストは、独自の BMS を開発および製造しました。この BMS により、セルは均等に充放電されます。これは、バッテリーの耐用年数にとって非常に重要です。また BMS は、安全確保の役割も果たします。たとえば、バッテリが過度な低温または高温状態で充電されたり、または負荷がかかったりするのを防ぎます。
maxon がこの分野の新規参入者である以上、バッテリの大量生産を一朝一夕に開始できるわけではないことは明らかです。しかし、ギスウィルにあるワークショップでは、試作品や少量生産に対応できる設備がすでに整っています。maxon が大量生産を行う際は、南ドイツに拠点を擁する有名メーカーの支援を受けることになります。当然のことながら、maxon のバッテリーは e モビリティおよびロボット工学用途向けの設計となっています。
